漆喰へのこだわり

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昔ながらの製法「本漆喰」に拘っています。

PLASTER

本漆喰は、生成時に排出された二酸化炭素(CO2)をゆっくり時間をかけて吸収し、年月をかけて硬化させる「気硬」という特性を持っています。主原料は、珊瑚礁などにおいて「サンゴ虫・紡錘虫(ぼうすいちゅう)類」などの海棲生物が2億年以上かけて堆積し、化石化して地上に隆起した「石灰岩」から採掘された「石灰石」です。この石灰石を「焼成・消化」という工程で加工して生成されたものが白い粉状の「消石灰」となります。
左官用の塗壁材は、この消石灰に対し、壁に定着させるための「糊(天然海藻)、スサ(麻などの植物繊維)」を混ぜて完成させます。
自然界では、約100年で元の硬度に戻る還元力を有するとされています。

漆喰の製造工程簡略図

「土壁」+「本漆喰」=「調湿+防火」。

日本の伝統工法による漆喰壁は、見た目を清潔感あふれる「白」に仕上げるだけでなく、日本の四季の中で快適に過ごすための「調湿性」、構造そのものを頑丈かつ堅牢にし、建物そのものを「長持ち」させるという側面も併せ持っています。
「土壁」+「漆喰」の組み合わせは、「調湿」だけでなく、土壁の持つ「吸湿←→放湿」を同時に行う機能が加わることで高い「防火性」を発揮します。
左官工舎西和合同会社では、この伝統を絶やすことなく次世代へ伝えてゆくために、土壁作りから対応いたします。
目指すは耐用年数100年超える本漆喰天然壁へ。


ようやく探し当てた納得のいく天然漆喰。

弊社で採用している漆喰は、府海苔(ふのり)や角又(つのまた)などの海藻を煮詰めた「天然糊」など、伝統製法に拘って作られた製品を採用しています。漆喰そのものから資材も含め、化成品でなく、添加物が加えられていないなど、厳重に原料トレースが実施されていることを常にチェックしています。

海藻の様な独特な磯のニオイがありますが、石灰化が進むにつれ、徐々に臭気は消えていきます。


 

MERIT AND DEMERIT
本漆喰の
長所と短所

▼本漆喰の長所
漆喰の長所の一例
外観

●白が際立つ仕上がりの美しさ。

コテ離れの良さは、塗壁材の中でも群を抜いています。その特質から鏝絵(こてえ)や造作アートなど意匠の世界を自在に広げていくことができます。

空間

●衛生的で清らかな室内空間作り

「土壁」+「漆喰」の本漆喰建築では、漆喰の持つ「強アルカリ」という特質と「空隙(くうげき)」と称される性質構造により、清らかな空気を保つ(樹脂には醸し出せない空間づくり)「調湿効果」を持っているので、トイレなどの衛生面が気になる空間にも適しています。また、漆喰が硬化をはじめる最初の約5年間(強アルカリ性から中性化へ変化)には「消臭・防虫」などの効果も期待できます。

 

▼本漆喰の短所
漆喰の短所の一例
外観

●「きっかきキズ、ヒビ、カケ、割れ」が起こりやすい

漆喰による塗壁は、施工完了からある程度の硬度になるまで非常に時間がかかります。そのため、硬化までの間、壁面は柔らかく傷つきやすい状態が続きます。

お手入れ

●「液体によるシミやカビなどによる黒ずみ」が起こりやすい

漆喰が持つ調湿特性によって吸水しやすい状態にもなるため、コーヒーや醤油などの色素が多い飲み物や液体を飛散させると「シミの沈着」に。湿気の多い地域だと「カビ」の発生の原因にもなりかねません。現代建築において、そのような状況が危惧される場合には、漆喰に樹脂などの撥水材を混合する施工方法での対処となります。

安全性

●消石灰が付着した手で目を擦るなどすると失明する可能性があります。

本漆喰の施工はプロの左官職人にお任せください。


 

TECHNIQUE
本漆喰と漆喰調
素材や目的の違い

「土壁」+「本漆喰」

●3から5年(1mm厚条件下)でゆっくり硬化
●15年で石灰化の様な仕上がり
現代建築へのご相談にも対応いたします。
●【環境へのリスク】消石灰を製造する過程での熱エネルギー負荷
●【人体へのリスク】施工前の粉末・ペーストが目に入ると失明の恐れ

漆喰調(表面保護のための樹脂やセラミック加工など)

●3から5年(1mm厚条件下)でゆっくり硬化
●3から5年ですでに石灰化の様な仕上がり
●【環境へのリスク】焼却すると有害物質が発生
●【人体へのリスク】体質によりまれに肌アレルギーの発症

壁厚がなく、下地に石膏ボードと断熱材で造られる現代建築では、残念ながらに本漆喰の良さを再現することはできませんが、本漆喰の様な機能を持つ「漆喰調」という選択があります。
左官工舎西和合同会社では、世界各国の「漆喰調」製品を厳選して取り揃えております。
 


 

HISTORY
漆喰の
歴史的背景

日本の漆喰の歴史

日本の漆喰

日本では、1,400年前の中国からシルクロードを経由して伝来したとされていますが、約4000年前(縄文時代後期)の遺跡「千葉県にある大膳野南貝塚」から発見され、2012年現在、日本国内最古とされています。
古来の建築では土壁が主流だったため、はじめは耐久性を高める仕上げ材としてお城や寺社に使われていました。当時から貴重で高価な建材でしたが、その後「天然糊」の普及によって商人の土蔵などにも使われる様になりました。

世界の漆喰の歴史

世界の漆喰

世界では、2009年に世界最古とされる12,000年前のメソポタミア文明の遺跡が発見されました。また、5000年前のエジプト文明やローマンコンクリートと呼ばれた古代ローマなどの建築にも石灰が使われていました。
その当時の壁は、石積みが主だったので石と石を繋ぎ止める「接着剤」として利用されていた様です。その技術は受け継がれ、現代でもスペインアンダルシア地方「ミハス」、イエメン「サナア」、イタリア「アルベロベッロ」などの建物や街並みで活躍しています。